忍者ブログ
nozaのなんとなく週末日記。
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新TB
プロフィール
HN:
noza
HP:
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
[69]  [68]  [67]  [66]  [65]  [64]  [63]  [62]  [61

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

02.旅での出会い

-前夜-

アルカディを馬車で出発してから数時間…。なんとかその日にのうちに次の町イーリオに到着したが、あたりは真っ暗だった。時間的には夕飯時を少し過ぎたくらいだろう。成り行きではあったがジルファの父親が用意した馬車に乗せてもらえたことはありがたかった。
馬車を降りた後、一行は真っ直ぐに宿屋に向かい、二部屋借りられることを確認すると、そのまま併設する食堂へと向かった。
彼らは4人、魔術師の少年ディナ、剣士の青年トルツ、先日アルカディで出会い別れぎわに「一緒に旅をする!」と言いだしついて来た少女ジルファ。そして、異世界の少女ユキヒだった。
「それにしても、馬車に乗せてもらえて良かったよね、歩きじゃまた何日もかかっちゃうところだったよ。」
異世界の少女は周りを和ませる明るい性格だった。
「まあね、私に感謝なさい」ジルファは偉そうに言う。
「ウォーレント市長には感謝しますが、あなたには一切感謝しません」
ディナが冷たくあしらうのを見て、ユキヒは先日の出来事を思い出した。
「ディナってば、まだ根にもってるの?」
ディナとジルファの出会いは最悪だった。そのせいかユキヒから見ればディナはジルファに対して冷たい様な気がした。トルツが無言で"その話題に触れるな'と目で訴えるのがわかり、ユキヒは慌て話題をそらすことにした。
「お、お腹すいたよね!何か頼もうよ!」
その言葉を待っていましたと言わんばかりに食堂の店員がおすすめのメニューを言いにやってきた。

一通り注文を終えると、ユキヒはまた険悪な空気にならない様に取り繕おうとしたところに、ひとりの女性が声をかけてきた。
「ご一緒してもよろしいかしら?」
女性は魔術師であろう。先端が時計の様な形をした変わった杖が印象的だった。
彼女の問に最初に答えたのはジルファだった
「どーぞどーぞ!女性なら大歓迎だから♪」
良く言えば親しみやすい性格と言えるが、あまりにも警戒心がなさすぎるとディナとトルツは思った。ユキヒもお人好しだがこういう時に率先して答えるタイプではなかった。
「ありがとうございます、他に席が空いてなくて」
あたりを見回すと、確かに食堂は満席だった。お酒も出しているため、夕飯時を過ぎても混んでいるのだろう。
「私はマイラ、見ての通り魔術師よ、王都コバルトに行く途中なの」
ディナとトルツが警戒していることを察したのだろう。彼女は座やいなや軽く自己紹介をした。
4人も自己紹介を済ませると、その流れで会話に至った。
旅をしていると、こういった出会いは良くあることだった。その場で出会った者同士の一夜限りの晩餐。翌朝には特に別れを惜しむでもなく、各々の行く先に出発する。
しかし、先日の"ムシヨビ'の事件もあり、彼らは警戒を怠らない様にしていた。
ディナは会話をする中で悟られない様に彼女を観察していた。彼女が"ムシヨビ'ではないことは一目見ればわかった。彼女には比較的高い魔力を感じたからだ。"ムシヨビ'は魔力を所持していない。その理由をディナは良く知っていた。
そして、聖獣教の信者でもないことがわかった。聖獣教信者は必ず食事の前には"青き鳥シンフィニア'に祈りを捧げる。呟きさえ見逃すまいと思っていたが、まったくその様子はなかった。
考え過ぎだろうか…。気が付けばユキヒも彼女と打ち解け、会話も弾んでいた。トルツも今ではあまり警戒していない様子だった。
会話は主に情報交換だった。彼女は彼らが目指すグリンガルの方向から来たという。途中崖崩れがあり、迂回しなければ通過できないとのことだった。
こちらの情報としては、この先アイシャブルー方面に向かうにはアルカディ経由だと途中ぬかるみがあり、馬車で立ち往生してしまい大変だったこと。カラック経由で向かった方が良いことを勧めていた。カラックはトルツの出身地であり「小さいけど良い町だ」と言っているところ、ジルファに「一回行ったことあるけど、のどかで良いところよね!田舎だから」と言われ喧嘩が始まり、ユキヒが焦って止めに入った。
食堂では随分長い間盛り上がり、いつの間にやらトルツやジルファは他の客と盛り上がっている様だった。相手は年配の旅人達で、だいぶ酔っているのか時々ディナにまで絡んできた。
マイラと名乗る女性は、ユキヒと何か熱心に話をしている様だった。マイラは小柄な女性だったため、最初はユキヒより年下かと思っていたが、しゃべり方や仕草、知識といったことからそこそこ年齢は上なのだろうとディナは予想した。"お姉さん'的な空気を醸し出したその女性は落ち着いた雰囲気でユキヒの話にうなずいていた。何か相談をしている様にも見えるが外野が騒がしい為その内容までは聞きとれない。
ユキヒは先日の"ムシヨビ'事件では自分がシンフィニアのことを安易に他人に話してしまったことを深く反省していた。ゆえに、今知り合ったばかりのこの女性に我々の目的について話すことはないだろう。だが、一体何の話をしているのかが気になった。
結局かなり遅い時間まで食堂にいた。マイラと別れた後、4人も2部屋(もちろん男子と女子で)に別れ眠りにつくこととなった。

そして、その翌朝に事件は起こったのだった。

Next→03.魔術師マイラ:https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/67/
PR

お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
非公開コメント

忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne